男性不妊症外来
男性不妊症を専門にしている泌尿器科医は全国的にも少なく、宮崎県や鹿児島県も例外ではありません。
当院では、平成24年3月より男性不妊症専門外来を開設しており、精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術も積極的に行っています。今後も南九州地方の生殖医療に微力ながらも貢献できればと考えています。

* 男性不妊症外来は完全予約制です。予約などのお問い合わせは0986-22-2806へお電話下さい。
* 診療日や男性不妊症に関する話題などにつきましては担当医のホームページまたはブログ
  ご覧ください。
* 紹介状や検査結果をお持ちの場合は持参してください。


男性不妊症について
1.不妊症とは?
 WHO(世界保健機関)では「避妊をしていないのに2年以上、妊娠しない状態」を「不妊症」と定義しています。本邦では正常なカップルが避妊をしなかった場合、1年で約80%、2年で約90%が妊娠にいたると報告されていますので、妊娠を望んでいるカップルの約10%が不妊症ということになります。
過去に1度も妊娠の経験がない場合を原発性不妊、過去に妊娠したことがあっても、その後2年以上妊娠しない場合を続発性不妊といいます。

2.不妊症治療の特徴
 不妊症は身体的健康に影響のある病気ではありませんが、精神的・社会的な負担がかかります。不妊治療に対しては個々のカップルの自己決定が診療の基本となり、パートナーの情報なしに治療を行うことはできません。近年は男性側の因子として勃起障害(ED)、射精障害やsexlessも増加傾向にあります。

3.不妊症の原因はどちらに?
 女性側に原因があるケースは約40%、男性側に原因があるケースは約25%、両方に原因があるケースは約25%、原因不明が約10%とされています。ということは約半数で男性にも不妊症となる何らかの因子があるということになります。

4.男性不妊症の基本的な検査
 身体検査では外陰部の視診・触診、直腸診などを行い、二次性徴の有無、外尿道口の位置、精巣の位置・大きさ、精巣上体・精管・前立腺の状態、精索静脈瘤の有無などをチェックします。陰嚢超音波検査では精巣の大きさ、精路閉塞の有無、精索静脈瘤の程度などが分かります。精液検査で精液量、精子濃度、運動率などを測定し、血液検査でホルモン(FSH、 LH、テストステロンなど)に異常がないか、糖尿病などの基礎疾患がないかを調べます。

5.男性不妊症の原因は?
 精子の数が少ない、精子の動きが悪いなど造精機能(精子を造る能力の)障害が約80%とほとんどを占めています。精液中に精子がいない無精子症、総精子数が3900万個未満の乏精子症、精子運動率が40%未満の精子無力症、形態正常精子が4%未満の奇形精子症などがこれにあたります。ほかの原因としては精路(精子の通り道)の通過障害が約15%、勃起障害や射精障害などが約5%とされています。

6.無精子症とは?
 無精子症は100人に1人いると言われており、決してめずらしいものではありません.精巣内での造精能は正常ですが、精路(精巣上体、精管、射精管)の通過障害により精液中に精子が出て来れない閉塞性無精子症と、精巣での造精機能障害や染色体異常などが原因の非閉塞性無精子症に分けられます。
いずれのタイプでも精巣内精子回収術(TESE)の適応になることがほとんどですが、閉塞性では約95%、非閉塞性は約40%で精子を見つけることができます。無精子症の場合でも、TESEで精子が回収できれば、顕微授精(ICSI)で妊娠する可能性があります。

7.乏精子症・精子無力症の原因は?
 精索静脈瘤は手術により治療可能な原因のひとつです。停留精巣や内分泌障害、染色体異常(Klinefelter症候群など)、射精障害(逆行性射精、糖尿病など)、精路通過障害(そけいヘルニア術後など)、悪性腫瘍の治療後(抗癌剤、放射線治療)、抗精子抗体なども原因となりますが、治療に難渋することがしばしばです。

8.精索静脈瘤とは?
 思春期以降の好発し、左側に多いとされています。一般男性にも15%に見つかりますが、男性不妊患者だと約3倍の40%以上に見つかります。超音波検査で探せばもっと高頻度になると考えられています。自覚症状はほとんどありませんが、陰嚢部の違和感や鈍痛、陰嚢腫大、陰嚢内の腫瘤蝕知などで受診される方もいます。顕微鏡下低位内精静脈結紮術を行うことにより、約70%の方で術後の精液所見が改善し、妊娠率も向上すると考えられています。

9.男性不妊症に対する薬物療法
 乏精子症や精子無力症に対する薬物療法ではビタミンB12や漢方製剤(補中益気湯、八味地黄丸、牛車腎気丸、柴胡加竜骨牡蛎湯など)が一般的に良く用いられています。ホルモン検査に異常がなければクロミフェンを使用するケースもあります。低ゴナドトロピン性性腺機能低下症では、ゴナドトロピン(h-FSH+hCG)を補充することにより、造精機能が改善することがあります。ほかに、カルニチン製剤(Lカルニチンなど)、葉酸、亜鉛などを含むサプリメントが効果的なケースもあります。